2. 各部のデザイン意図

モーター・モジュールの開発
現行の一般的なヒューマノイドにおいては、モーターが筋肉の役割を果たしています。morph 3においては、モーターそのものが、人の筋肉と同じように無駄のない美しい形でなくてはならないと考えました。そこで、デザインされたモーター・モジュールは大小2種類。高精度な多段ギヤボックスを一体化し、角度センサー、温度センサー、ヒートシンクを内蔵しました。morph 3の身体を構成するモーター・モジュールは全部で24個。徹底的な試作と試験をくり返し、もっとも開発に時間をかけた基幹部品です。

美しいジュラルミンの骨格
骨格となるフレームはジュラルミン製です。剛性の向上と軽量化、可動範囲の最大化を成立させるための最良のかたちが追求されました。複雑な機能が有機的に連繋する、厚さ一ミリの繊細な骨格は、0.1グラムの軽量化のための工夫がひとつひとつ重ねられています。

タクタイルセンシングシェル
morph 3の頭脳はひとつではありません。胸部のメインCPUを中心に、全身の筋肉や、センサー、カメラなどをそれぞれに制御するサテライトCPUが、からだの各部に配置され、ネットワークを形成しています。腕や、足の外側を覆う樹脂製のシェルはこれらの小さな脳を保護するためのものです。同時にこれらのシェルの各ピースには感圧センサーが実装されています。この機能性外装:タクタイルセンシングシェルを搭載することで、morph 3は、刻々と体と床との接触状態を検知し、複雑・多彩なアクションを行うことができるのです。

新構造のアーム
morph 3の手は、収納時には一切の突起のない独特の構造としてデザインされています。何かをつかむ時には収納されたフィンガーが高速で開き、必要のない時にはただちに収納されます。これは、激しい動きを実現するmorph 3が、とっさに両手を地面に着く際の、指の損傷を防ぐための新機構です。

特注の高精度ワイヤ
身体構造を露出させるデザインであるmorphの随所に、コード類やねじ、基盤がむき出しになっています。morph 3に使用されたこれらのパーツは、すべて美しさと機能を両立させた最高品質の特注品となっています。高精度ワイヤは、繰り返される激しい運動にも耐えながら、3Aという大電流をからだの各部に供給する、morph 3のライフラインを担っています。