1. 基本となるデザインコンセプト
 
新世紀のアスリートをめざして
人工知能研究のプラットフォームとして、北野共生システムプロジェクトのmorphシリーズは、従来にない可動範囲、大トルクのダイナミックな制御により、これまでのヒューマノイドでは実現できなかったアクションを実現してきました。その機能を優先した結果morphシリーズには、外装カバーがありません。従来のロボット・デザインの多くは、カバーにより機構部品を隠すことで、かたちを整えています。しかしそうした外装デザインでは、morphの可動範囲やスピードを犠牲にする可能性があります。そこで、今回、新しいmorphプロジェクトに参加した、プロダクトデザイナー山中俊治(リーディング・エッジ・デザイン)は、ひとつひとつ美意識を加えて再設計しています。
シンプルでコンパクトなモーター・モジュール、軽量高剛性のジュラルミン骨格、電送部品の保護を保護し、触覚センサーを内蔵するシェル等は、ヒューマノイドの身体デザインを根本から見直した結果の、機能と美しさを合わせ持つ新しいスタイルです。完成したmorph 3の外観を見れば、随所に機械の筋肉であるモーター・モジュールがむき出しになっているのがわかります。これは、アスリートが余分な衣服で筋肉を隠さないのと同じです。そぎ落とされ、研ぎすまされたmorph 3のメタルボディーは、21世紀のアスリートの身体なのです。